2025年3月18日(火)配信
建設業の職人は、
「現場で肉体労働をする割に待遇が良くないので若者に敬遠されがち」と言われてきました。
若者の入職が少ないから高齢化と超人手不足がどんどん進んでしまう、
国や業界もそれが分かっているので賃金や休日(週休2日)などの
対策を打ってきたわけですが、今度は国が職人の退職金の拡充を目指すようです。
実質的な職人の退職金制度である建退共(建設業退職金共済制度)を
運営する勤労者退職金共済機構の建退共本部が、職人の退職金1000万万円超えを目指し、
建退共掛け金のアップを検討しています。
3月11日に都内で開かれた「運営委員会・評議員会」では、
これまでも建設業界団体などから要望のあった掛け金アップに呼応し、
今回初めて「退職金1000万円」を打ち出したようです。
具体的には、職人1人について複数の掛け金を納付する「複数掛け金制度」を
設けるようですね。現在の掛け金である日額320円を3段階に分けて徐々に
アップさせていって40年納付した場合、退職金を1000万円にする目論見です。
でも、一体どこから「1000万円」という金額が出てきたのでしょう?
実は東京都の中小企業を引き合いに出したようですね。
現在、建退共は日額320円で37年間納付した場合、退職金は400万弱になるそうで、
これに対し東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」(2024年)によれば、
その全産業における退職金は850万弱とのこと。
その差、約450万円。
これじゃ差が大き過ぎるという事らしいですが、
そもそも東京都の中小企業と比べるものなのかどうか、
建退共本部は、「将来の安心につながる制度」にするためそうしたそうですが。
まあ、あれでしょうね、「職人になれば退職金は1000万円!」っていう
インパクトを出したかったから、比較対象はどこでも良かったのかも知れませんね。(勝手な想像です)
それと、この複数掛け金制度ですが、
掛け金は「建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価」を参考にして
アップさせるそうですが、この評価が適正にできるかどうかが問題になる気がしますね。
ま、いずれにしても若い人が魅力的に思えるような待遇を打ち出すことが大事でしょうから、
行政として色んな手を打っていくのはいいことですね。