2024年7月26日(金)配信
改正建設業法では、
職人の労務費を末端の下請まで行き渡らせるルールを設けました。
が、最終的に「職人に本当に支払われたのかどうか」まではカバーしていません。
支払いについては、あくまで建設業者の努力義務としています。
ま、それじゃさすがにマズいだろうという事で、
国土交通省が実際に賃金として支払われたかどうか今年度から確認する
ようですね。国交省の工事で賃金支払い確認を試行的に行うそうです。
で、どうやるかというと、
まず元請と下請に、直接雇用する職人の賃金や現場従事期間の報告書を
国交省の地方部局に提出してもらい、その額が妥当か確認するようです。
妥当性の判断は、もちろん「標準労務費」でしょう。
イメージはこんな感じです。(賃金支払い状況の調査の流れ)
https://www.decn.co.jp/?p=165092これって、
あくまで国交省の試行的な調査ですが、この方式がうまく機能するなら
将来的には全ての工事で報告書の提出が義務化されるんでしょうね。
というか、これを賃金行き渡りのチェック機能にするんでしょう。
職人への賃金の行き渡りって、要するに最低賃金みたいなもんです。
最低賃金なら法律で決まってますから、その額が払われなかったら役所に
訴えればいいですが、今回の建設業法のルールはそこまで縛ってません。
なので、こんな面倒な報告書提出って作業が必要になる訳です。
でもまあ、この制度どこまで効果があるでしょうか。
役所が想定する賃金の職人への支払いは、所詮努力義務であって現状では
大きな罰則はありません。
公共土木工事はともかく、
民間建築工事は施主、元請、下請の相対で契約し成り立ってます。
「職人に適正な賃金を払いたかったが工事の収支上どうしても無理だった」
とか、何らかの理由があれば役所から摘発される事はないでしょう。
やはりネックは民間建築工事ですね。
職人の賃金アップ、どこまで進むのかこれからも注目です。