2024年5月13日(月)配信
鉄工所などの業界団体である全国鐵構工業協会が、
工事における「鉄骨製作図」の作成に関して、国土交通省やゼネコン団体に
要望を出しています。
「鉄骨製作図問題の是正・解消に向けた要望書」というものですが、
何となくどんな内容か察しがつきますね。
「製作図」ですから、平たく言えば施工図みたいなもんです。
きっと何度も何度も変更があるんでしょうね。
団体が言うには、
「鉄骨製作図の段階であれば、いくら手戻りさせても構わないという誤った
風潮」
が建設業界にあるそうです。
ま、鉄骨製作図に限らず設計図面以外の図面変更の曖昧さはよくありますね。
団体の要望書にある具体的なトラブルを紹介すると(要約)、
▶製作図段階で当初設計の原形を留めないほどの追加・変更が指示される。
▶鉄骨の重量を減らすよう、何度も検討や製作図の修正をさせられた上に
鉄骨重量が減ったことで値引きを強要された。
▶設備に伴う変更が多い。(設計者・監理者の認識が軽いのでは?)
▶製作図提出後、構造図が3回変更され2カ月分の作業が無駄になった。
▶意匠図と構造図の整合がなく構造や納まりの変更が多発している。
などなど、たくさんの事例が記載されています。
要するに、鉄骨製作図については度重なる変更があるにもかかわらず、
その変更に関わる手間や期間、人権費等を含めた経費は何もみてくれない、
どうにかして欲しい、というそんな要望です。
ただ、どうでしょう、こういうトラブルや問題って別に今始まったことではなく、
ずっと以前からあったはずです。なぜ今のタイミングで要望を出したのか。
団体の専務理事がこう言っています。
「建設業に時間外労働上限規制が適用され、一緒に解決に向かえる良い
タイミングが来たのではないか」と。
そうなんです、結局は今年から始まった残業規制に絡めて要望を出したんです。
もともと、国や大手ゼネコン団体になんて要望を出しにくいでしょうし、
まあ普段なら「分かりました」とだけ言われ流されてしまうでしょうね。
でも建設業の残業規制に絡めて言えば、ニュースにもなるし相手も聞く耳を
持たなければならなくなる。このタイミングだ!って思ったんでしょうね。
クレーン団体、ポン車団体等に続いて、鉄骨団体も時期を逸せず要望したって
ことでしょう。
建設業の残業規制は、ホントいろんな課題や問題をあぶりだしてくれます。