2024年3月8日(金)配信
いよいよ来月から建設業の残業規制スタートですが、
これ、建設業界のいろんな課題を浮き彫りにしていますね。
昨年あたりからニュースになっていますが、
クレーン業界がその特殊性から時間外労働の上限を運送と同じ
年960時間以内とする特例措置を数年前から要望しています。
主に移動式クレーンを指しているようですね。
移動式クレーンは当日の移動が多く現場作業を8時間すると、
回送時間がすべて残業となり、さらに出発前の点検や現場での
アウトリガーの張り出し、ジブセットなどの準備作業や片付け、
更に帰社後の報告などで、とてもじゃないが上限を守ることは
できない、そういうことみたいですね。
全国クレーン建設業協会の調査(2023年6月)によれば、
クレーン車の置き場から現場まで往復する1日当りの回送時間は
全国平均で1時間47分、3大都市圏や北海道で2時間を超え、
埼玉地区では3時間25分もかかっていたそうです。
結果、月当りの時間外労働は全国平均で57時間21分とのこと。
年960時間の特例措置を要望するのもうなずけます。
ただし当然ながら国はその要望を受け入れていません。
クレーン業界の団体は、国が特例措置を認めないとしたことで、
ゼネコンの団体である日本建設業連合会や建設業協会などに対し
当日作業の自走式クレーンについては、
「作業時間は8時~15時(昼休憩1時間)まで」にすることを
求めています。
これ、すごいですね。
クレーンは午後3時まで、それに昼休憩除けば実稼働は6時間です。
業界団体は、
「われわれの窮状に理解は示してくれるものの、具体的な対応が
見えてこない。」
と言っています。
「何もしてくれないんだから、作業は3時までにしますよ」
ってことでしょうね。もっともな話だと思います。
またクレーンは、オペレーターの人手不足と機種の大きさや性能などの
違いがあって交代制による残業削減も難しいそうです。
作業時間の短縮については、以前生コンの圧送団体もゼネコンなどに
要望してましたが、理屈はまったく同じですね。
建設業の残業規制は、ただ単に労働時間を規制するだけじゃなく
業界内の様々な課題を可視化させ各社に大きな影響を与えそうです。