2023年9月22日(金)配信
国土交通省が、
「建設業の長時間労働の改善」と「職人の賃上げ原資の確保」のため、
建設工事への監視体制を強化するようです。
監視する職員を「建設Gメン」とし今後数年で大幅増員するとのこと。
2024年4月から始まる建設業の残業規制や、
技能者(職人)の賃金が10年以上上昇している「公共工事設計労務単価」
や全産業平均と比較しても依然低い水準にあるため、
「工期」と「請負代金」の2つを主体に調査していくようです。
調査対象となる工事は、公共、民間を問わず稼働中の大型工事です。
「発注者と元請」、「元請と下請」、「下請と下請」、それぞれで交わされた
請負の契約内容について、Gメンが稼働現場を訪問して現場代理人などに
ヒアリング、改善点をその場で指摘・指導するとともに、それらを会社に通知
するとしています。
現時点でも、
2024年から始まる建設業の残業規制を踏まえ、国交省職員と労基署職員
が現場に同行し工期についてのモニタリング調査を行ってますが、
今後は中小企業庁が配置する下請Gメンとも連携し、更に建設Gメンの
指導権限も強化する見込みです。
国土交通省、厚生労働省、中小企業庁が一体となってGメンを形成し
工事現場を調査するってことでしょう。
でもこれ、どうなんでしょうか。
「請負代金」と「工期」が適正かどうか調査するって話ですが、
例えば請負代金については、どこまで踏み込めるのか。
現状では、元請が下請に出す金額に明確なルールはありません。
市場原理で取引する訳ですから当然です。
「この額で契約しなければならない」というハッキリした金額はない訳で
更に指摘や指導をされて改善しなかったとしても罰則は無いはずです。
特に「民間工事」で「民民」の契約なんて、どこまで効果が期待できるか。
工期についてもそうです。
建設業法で「著しく短い工期」は禁止されましたが、「著しく短い」とは
どうやって判断するのか。
判断項目は明示されていますが、ハッキリ指摘できるのは残業時間くらい
なんだと思います。だから労基署が同行してるんでしょう。
建設Gメン。
言葉にはそこそこ威圧感がありますが、さてどこまで契約に踏み込めるのか、
今後も情報収集していきたいと思います。