2023年8月18日(金)配信
国土交通省が2023年6月に【CCUSレベル別年収】を公表しました。
来年からスタートする建設業の残業規制ですが、
果たしてゼネコンはその規制内で残業時間を収められるのでしょうか?
大手ゼネコンの団体である日建連が毎年行っている
「会員企業労働時間調査」の昨年度結果が先月公表されました。
2022年度の1年間における日建連会員企業(140社)に就労する
労働者約14万人を対象にしたものなので、これを見れば大手ゼネコンの
残業時間が今どうなっているのか、来年の残業規制はクリアできそうなのか
ある程度分かると思います。
ご存知だとは思いますが、残業規制の元となる36協定(労使で締結)には
「原則」と「特別条項」の2つのパターンがあります。
原則は、時間外労働が年間360時間まで月間最大45時間までで、
特段に忙しい場合を想定した特別条項は、以下の4つを条件としています。
①法定時間外労働が年720時間以内
②法定時間外労働と休日労働の合計がどの2~6か月平均をとっても、
1月あたり80時間以内
③法定時間外労働と休日労働の合計が1か月100時間未満
④法定時間外労働が月45時間を超えられるのは年6か月まで
来年4月以降、
建設業における殆どのゼネコンは特別条項の適用になるでしょうから
残業規制はこの4条件をクリアできるかどうかと言うことになります。
日建連の2022年度の調査でその結果が出ています。
▶残業規制の達成状況(超過した条件はMA回答)
https://www.rise-jms.jp/media/construction/a1087これをみると、
①「720時間/年」を超過したのは全体の➡7.4%
②「月80時間/2~6か月平均」を超過したのは全体の➡6.4%
③「100時間/月」を超過したのは全体の➡2.9%
とそれぞれ1桁台の回答になっていますが、4つ目の条件である
④「45時間超/月→6回」を超過したのは全体の➡21.6%
と極端に超過率が上がっている事が分かります。
調査結果を出した日建連も、ここがネックになっていると分っているので
ここのデータをカラーで囲んでいます。
年720時間以内、月平均80時間以内、単月100時間以内は、
どうにかクリアできても、月45時間を年6回までが困難なようです。
仮に工事現場が隔週土曜休みで稼働していた場合、
月2回の土曜出勤で「8時間×2回=16時間」になります。
月45時間から16時間を引けば、残りは月29時間。
月曜~金曜の平日が月20日間あるとすれば、
29時間÷20日≒1時間半なので、平日に可能な残業は1時間半まで
という計算になります。
こういう月が年に6回ないと違反になる訳ですが、かなり難しいですね。
2024年4月から始まるの建設業の残業規制は、
「月45時間を年に6回まで」この条件のクリアがポイントになりそうです。