2023年7月28日(金)配信
国土交通省が2023年6月に【CCUSレベル別年収】を公表しました。
これ、何かと言えば、
国が毎年行っている職人の賃金調査(*1)で出た賃金をCCUSのレベル別に
置き換えたら年収はいくらになるのか、というものです。
(*1)国交省と農林省で行う公共事業労務費調査のこと。
国内にいる職人(技能職)約300万人のうち、
CCUS(建設キャリアアップシステム)に登録している職人はその1/3ほど
約100万人ですが、ほとんどはCCUS最下位の「レベル1」です。
▶ 登録した職人の殆どは「レベル1」
https://www.rise-jms.jp/media/construction/a1085これはシステムの登録処理上の問題であり、
実際にはレベル1~4まである程度の人数が存在していて
決してレベルが低い職人が多いわけではありません。
また、そもそも国内の職人の2/3はCCUSに登録していません。
職人がCCUSのレベル分けをキチンとされていない状態では
行政や業界団体がいくらCCUS、CCUSと騒いだところで
目に見える年収が見えないため、白けてしまうのが現状です。
CCUSは文字通り、
職人のキャリアアップ=年収アップを目的としたシステムですが、
現状では工事現場の入退場ツール等としての認識が強く、
「CCUSでレベル分けしたって絵空事の年収にしかならないだろう」と
業界の多くの人は思っているはずです。
そこで国交省が出したのが、
今いる職人をCCUSのレベル別に分けた場合、年収は一体いくらになるのか?
です。
「今だって、このレベルになったら、この位は貰えるんだよ」っていう事を
若い職人やこれから入職する若者に訴えようというものです。
【CCUSレベル別年収】の算出方法はこうです。
まず調査した職人を経験年数と資格を基にレベル1~4に分け、
そのレベル毎に賃金を上位・中位・下位の3段階(*2)に分けます。
(*2)
「上位」は賃金上位15%程度、「中位」は平均、
「下位」は賃金下位15%程度の年収としている。
要するにレベル4なら、
レベル4の中で賃金が高い職人上位15%の賃金を「上位」賃金とし、
レベル4の賃金平均を「中位」賃金とし、
レベル4の中で賃金の低い職人下位15%の賃金を「下位」賃金とする。
ってことです。
結果的に一つの分野で年収が12段階に表されることになってます。
▶CCUSレベル別年収の概要
https://www.rise-jms.jp/media/construction/a1084ちなみに技能者数が多い上位10分野の最高年収(レベル4上位)を
高い順に列挙してみると以下の通りになります。
年収は「完全週休2日で残業なし」の場合です。
(令和4年度公共事業労務費調査の結果をもとに作成)
これだと、そこそこの年収になってる気がしますね。
機械土工:8,900,000円
型枠: 8,630,000円
建設塗装:8,580,000円
とび: 8,510,000円
鉄筋: 8,490,000円
土工: 8,490,000円
建築大工:8,470,000円
左官: 8,250,000円
電気工事:7,690,000円
配管: 7,540,000円
この【CCUSレベル別年収】ですが、完全な生データという訳ではなく
「公共工事設計労務単価の算定と同等に必要な費用を反映した」と
ありますから、数字が作為的だという声も少なくありません。
CCUS、この年収が絵空事にならない事を祈りたいです。