2023年5月26日(金)配信
DXが進む建設業ですが、
これからはスランプ試験など生コンの受入れ検査もクラウド化されそうです。
内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM/プリズム)で
日本建設業連合会(日建連)のコンソーシアムが開発したAI活用による
生コン受入れの品質管理技術について、その有効性が確認されたため、
国土交通省がこれを使った試行工事を今年度(2023年度)から
行うことになりました。
スランプ値を画像解析とAIによる確認方法に切り替え、国交省の全国の
土木工事20~30件で試行し、2024年度の本格運用を目指すそうです。
長らく行われてきた従来のスランプ試験はかなりアナログなものです。
▶従来のスランプ試験(受入れ検査)のイメージ
https://www.rise-jms.jp/media/working_constructionindustry/a1075基本的に紙ベース管理でアナログな作業になることから、
当然、人も時間も手間もかかります。
国交省はこれをAIを活用して効率化したいようです。
スランプをAIで測定といっても具体的にどうするかというと、
ミキサー車のシュートから流れる生コンを、現場で固定したクラウドカメラで
撮影し、流れる生コン画像をAIで分析するようです。
▶こんな感じでシュートを流れる生コンを撮影
https://www.rise-jms.jp/media/working_constructionindustry/a1074日建連の資料によれば、
「自動車の自動運転に使用される画像解析技術を適用、
画像解析により流速・流量・シュート角を検知し、AIによりスランプを推定」
するのだそうで、スランプ値はこれまでと違い「全数測定」になります。
構造物にもよりますが現在の国交省の規定では、
コンクリート20~150m3(生コン車で5~35台程)毎にスランプの確認が
必要ですが、これがカメラ1台でクラウド管理できるようになる訳ですから、
業務の大幅な効率化になるはずです。
国交省の資料にはAI化によって検証された成果が記載されています。
→現場作業時間を最大20%削減
→内業時間を50%以上削減
→リアルタイム情報交換と見える化で打重ね時間の短縮10%
→受入試験のクラウド監視が可能
→単位水量/スランプの安定化
→ペーパーレス化
▶スランプの従来手法とAI分析手法の比較
https://www.rise-jms.jp/media/working_constructionindustry/a1076また、今回の国交省の試行工事ではスランプだけ取り上げていますが、
実はこのAI分析手法は空気量、温度、圧縮強度などの測定(推定)も
可能になるらしく、将来的には受入れ検査全般が効率化されるかも知れません。
ミキサー車1台だけの検査と違いAI化では「全数」を測定する事になるので、
「融通がきかない(違法?)」
「異常があったとき”止める”オペレーションはどうするのか?」
「そもそも誰が監視するのか?」
など課題も挙がっているようですが、
今後建設業のDX化で大きな話題になる事は間違いありません。