レベル3.5飛行とは?
航空法において2023年12月に新設されたドローンの飛行区分で、レベル3飛行の要件を緩和した区分である。新設により、商業用への利用促進が期待されている。
■レベル3.5飛行区分新設の背景
要件緩和の背景には、技術の進歩による安全性の向上と商業利用への需要の高まりが関係している。
・安全性の向上
機上カメラ技術の進歩により、伝送される映像を地上で監視できるようになったため、飛行経路下の状況を確認しながら飛行することが可能となり、目視外飛行での安全性が高まった。
・商業利用への需要の高まり
人材不足を補うため、ドローンを使った物流輸送を現実的なものにするには、レベル3以上の飛行(目視外飛行)が必須である。そのため、条件を緩和して商業利用を促進する法整備が進められた。
■飛行区分とレベル3飛行の要件
飛行区分はレベル1~4に分かれており、目視外飛行はレベル3以上となる。
【飛行区分】
レベル1 目視内での手動操縦飛行
レベル2 目視内での自動/自立飛行
レベル3 無人地帯(山林・河川・農地など)での目視外飛行
レベル4 有人地帯の目視外飛行
【レベル3飛行の要件(抜粋)】
・第三者が立ち入る可能性が低い場所の選定
・飛行実績がある機体を使用
・緊急時の対応など、飛行に応じた安全対策の実施
・自機周辺の気象状況の監視
・第三者の立ち入り管理措置
■レベル3飛行とレベル3.5飛行の違い
レベル3.5飛行はレベル3飛行(カテゴリーⅡ飛行)に該当し、有人地帯の飛行はできないが、第三者の立ち入り管理措置の要件が緩和されるため、
・飛行エリア周囲に補助者や看板を設置すること。
・道路や線路の上空を横断する際は一時停止し、下に車両などがないかを確認すること。
が不要となる。
第三者の立ち入り管理措置以外の要件は、レベル3飛行と同様である。
■レベル3.5飛行の要件
レベル3.5飛行を実施するには、次の3つの要件を満たす必要がある。
①機上カメラを搭載し、歩行者の有無を確認できる機体を使用すること
②任意保険への加入
③操縦ライセンス(無人航空機操縦者技能証明)の保有
操縦ライセンスは、一等資格・二等資格のどちらでもよいが、無人航空機の重量や種類に対応した資格で、目視内飛行の限定解除を受けたものでなければならない。
■レベル3.5飛行新設のメリット
無人地帯でドローンを飛行することが容易となり、物流や点検分野でのドローン活用が促進されるほか、ドローンの国家資格を取得するメリットも生まれている。