公契約条例とは?
適正な労働条件を確保することで、地域経済に好循環をもたらすことができる条例である。
この条例には、公共機関が結ぶ契約(=公契約)の中に、業務に従事する者に支払う報酬や受注者の責任などの条項を明記することが定められている。
国内では千葉県野田市で初めて制定され、その後各地で同様の条例が制定されるようになった。
■条例制定が広がる背景
公契約条例がない地域では近年、コストダウンが賃金低下の原因となっている。
この問題が、従事者・事業者・住民・自治体それぞれに悪い影響を及ぼしていることがある。
<それぞれに与える影響>
従事者:低賃金のため、働いているのに生活が苦しい。(=ワーキングプアの状態)労働条件が悪い。
事業者:ダンピング受注が増え、健全な経営をしている企業が受注できなくなる。安定した経営を行うことが難しくなる。
住 民:公共事業のサービスに従事する従業員が集まらなくなり、サービスの品質が低下。住民は十分なサービスを受けることができない。
自治体:公共事業のサービスが悪化。定住者や地元企業が増えにくくなり、税収も安定しない。
そのため、公契約条例を制定することで、これらの問題を解決しようとする動きが全国に広がっている。
■公契約条例を制定するメリット
公契約条例を制定すると、従事者・事業者・住民・自治体それぞれに良い影響がもたらされる。
<それぞれにもたらすメリット>
従事者:適正な労働環境。賃金相場が守られる。(=ワーキングプアの状態を解消)
事業者:ダンピング受注の排除により公正な価格競争ができ、健全な経営をしている企業が、地域に根差した経営を行うことができる。
住 民:公共事業のサービスの品質が向上し、安心・安全な生活を送ることができる。
自治体:公共事業の品質が向上し、住民の定住化・雇用の安定化が見込めるため、財政の安定に繋がる。
このように公契約条例は、公正な取引と労働条件の改善を通じて、地域社会の持続可能な発展を目指すために欠かせないツールである。