建設業界に残業の上限は無い?
違法な残業時間に関する調査結果を厚生労働省が発表し、建設業はどうだったのか、ニュースになっています。
https://www.decn.co.jp/?p=116030
https://www.kensetsunews.com/archives/491148
日本の法律では企業で働く社員に対し、残業時間の上限を設けてます。原則は以下の通りで、国内のどんな業種でも規模に限らず適用されます。いわゆる36協定(さぶろくきょうてい)です。
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▶残業時間(休日出勤は含まず)の上限は原則、月45時間、年360時間
▶ただし特別な規定を定めれば、
・残業時間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・年720時間以内
・残業と休日出勤の合計時間・・・・・月100時間未満
2~6ヶ月平均80時間以内
▶それでも原則の月45時間を超えていいのは年に6ヶ月まで
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これを見てもピンとこないでしょうから、この規制の範囲で目いっぱい残業をするとどの位になるのか例を挙げてみます。
(1年間、毎週土日を休んで月曜~金曜を働いた場合)
▶1月~6月まで:毎日2時間15分の残業をして月に残業が45時間
朝8時~夕方5時が定時なら、毎日夜7時15分まで残業
※ただし法律上は休憩を取る必要もあるので
実際には「夜8時過ぎ」に仕事が終わる感じ
▶7月~12月まで:毎日3時間45分の残業をして月に残業が75時間
朝8時~夕方5時が定時なら、毎日夜8時45分まで残業
※ただし法律上は休憩を取る必要もあるので
実際には「夜9時半頃」に仕事が終わる感じ
これで上限の年720時間の残業です。まあ、目いっぱい残業をすると、定時が夕方5時でも毎日夜8時以降じゃないと会社を出れない計算になります。
定時を朝8時~夕方5時にしたのは、建設業界がこのパターンが多いからですが、一般企業の朝9時~夕方6時のパターンなら、毎日夜9時以降じゃないと帰れないということになります。
年に720時間の残業って、結構ハードな時間数に思えますが、法律はここまではOKしてるってことです。
で、本題は建設業界の話です。実は建設業界、2024年3月31日まで、上記の規制は猶予されてます。
要するに現時点で建設業界に残業の上限は無いってことです。
建設業界や医療業界、運送業界などは、これまでも「残業を規制するのは難しい業界」として、残業の上限は設けられていませんでした。
工事は雨、風、雪、地震などの外部環境によって工事ができる期間が短くなり、病院の手術は規定の残業時間で打ち切れませんし、
長距離トラックの運転手は規定の残業時間になったら途中で車を止めるわけにはいかないのです。
こういった一部の特殊な業界については、これまでずっと残業の上限は見送られてきたのでですが、
風向きが大きく変わったのが「働き方改革」です。
結局、こういった業界だけ残業が青天井では、「働き方改革」に逆行するため、やっぱり上限を決めましょうとなった訳です。
ただし、そのルールを決めるとき、東京オリンピックを控えていたため、「まあ五輪もあるし各業界とも忙しいだろうから、
上限設定は5年くらい遅らせましょう」となりました。それが「2024年3月31日まで」なのです。
ということで、現在の建設業界は上限規制がなく、2024年4月1日から残業規制が入ります。とはいえ、規制がないからといって、
建設業界の企業が無制限に残業を多くしている訳ではありません。
規制がなくとも、ある程度適正な時間数を各企業ごとに設定しているのが現実です。
今どき月80時間とか90時間とか残業させていたら、ブラック企業としてネットで広まってしまうでしょうから。
ということで、建設業界の残業規制をおさらいしてみました。
(厚生労働省)
長時間労働が疑われる事業場に対する令和元年度の監督指導結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13350.html
(厚生労働省)
時間外労働の上限規制/わかりやすい解説
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf