建設業界にいるなら知っておきたい【サクッと分かる!】国土強靭化とは?
ニュースなどでよく聞く「国土強靭化」。
地震のために建物や橋を補強したり、防波堤を高くしたり、堤防を強化したり、なんとなくのイメージは分かっていても、
きちんとした理解はできてない人も多いはず。
法律になっているので、難しいところや細かいところはちょっと置いといて、
業界人として最低限のポイントだけは押さえておきましょう。
【そもそも国土強靭化とは?】
国土強靭化とは、地震、台風や大雨、異常気象、火山噴火などによって起きる災害から
国民を守るために文字通り「国土」を「強靭」にすることを言います。
2011年の東日本大震災を契機に、2013年12月に「国土強靭化基本法」が成立し、
国土強靭化は国の政策となっています。
【法律ができた具体的な背景は?】
もとともと日本は、
▶島国で四方を海に囲まれているため、津波の脅威が常にある
▶南方で発生する台風の通り道になっていて、毎年多くの台風が上陸する
▶世界有数の火山国で、活火山が多く噴火の脅威がある
▶山岳地帯が多く、土砂災害の多発を招いている
など、災害を受けやすい状況にありました。これまでにも、
▶死者、行方不明者5,098名を出した1959年の伊勢湾台風(台風15号)
▶観測史上最大の震度7という直下型地震が初めて大都市を襲った1995年の阪神・淡路大震災
▶観測史上最大M9.0の巨大地震が40mを越える大津波となった2011年の東日本大震災
など、大規模な災害が発生しているうえ、
▶今後30年以内に70%の確率で発生すると予測される首都直下地震
▶今後30年以内に70~80%の確率で発生すると予測される南海トラフ巨大地震
など大規模な地震に備える必要もあります。
また、ゲリラ豪雨に見られるような世界的な異常気象からも、災害への対策が欠かせなくなりました。
要するに、日本は昔から災害に悩まされてきたのですが、
近年の地震の頻発や異常気象によって災害が多発するようになっていたところに東日本大震災が発生し、
これを契機に国土の強化をしようという事になったのです。
【どこが行う政策か?】
国土強靭化という言葉のイメージから、国土交通省が堤防や防波堤などの工事を行う政策のように思えますが、
実際には内閣府、総務省、厚生労働省、警視庁など複数の省庁が総合的に行う政策で、工事以外の政策も数多くあります。
【どういう事態を想定しているか?】
※内閣官房HPより https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/about.html
国土強靭化政策では、地震、台風、津波、洪水、火山噴火などによる災害において、
「起きてはならない最悪の事態」を想定しています。リスクシナリオと呼んでいますが、
これが45個あります。(45もあるので資料をご覧になってください。)
いやいや、たくさんありますが、良く見ればどれも災害時に発生すると予想される当然な内容です。
※45個のリスクシナリオ/内閣官房HPより https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyoujinka/dai6/siryou3_1.pdf)
【強靭化とは具体的に何を行うのか?】
45の最悪の事態を想定して、その対策を行うことが国土の強靭化なわけですが、
具体的には上記45の中から、特にこれは重要だと思われる「15個」をピックアップして、
その対策を重点的に行っています。その15個が下の資料です。
人命はもちろんですが、サプライチェーン(物流ライン)など経済的な面を重視しているようにも思えますね。
※国土強靱化の取組の着実な推進について/関係府省庁連絡会議資料より
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyoujinka/dai23/02_an_siryo.pdf
そして具体的に何をするかですが、これは国(内閣官房)の写真入りの画像を見てもらうのが一番だと思います。
30以上の事例が記載されているので、とても分かりやすいです。(pdf 資料で4ページ目から事例が掲載されています)
国土強靭化の取組事例
以上、国土強靭化について書いてみました。