2025年2月3日(月)配信
今年(2025年)施行が予定されている、改正建設業法に基づく
「著しく低い労務費を禁止する」法令ですが、
具体的に行政としてはどう規制していくのでしょう。
今回の法改正は業界にとってかなり大きな変化ですから、
建設業に携わっている以上、概要くらいは理解しておきたいところですね。
一番のポイントとなる「著しく低い労務費」とはどの程度の額を指すのか、
またその根拠は何なのか、そして何をどう取り締まっていくのか・・・。
現状ではその詳細まで事細かに明らかにされていませんが、
この画像を見れば大まかなイメージは湧いてくると思います。
▶建設Gメンによる標準労務費に関する調査事例
https://www.rise-jms.jp/media/working_constructionindustry/a1254建設Gメンによる鉄筋工事(民間)見積の調査結果ですね。
これによれば、当初の見積が、
■労務費:7850万円
■施工量:1450t
■人工数:2900人日
だったところ、
最終的には、
■労務費:6350万円(-1500万円)
■施工量:1400t(-50t)
■人工数:2900人日(±0)
という見積結果になっています。
これで、行政側は何をチェックしているのかといえば、
鉄筋工の「1日当りの単価」です。
基本的に「総労務費÷総人工数」で「1日当りの単価」を算出し、
その単価が適正かどうか判断するようですね。
で、その適正かどうかの判断基準が国土交通省が毎年公表している「設計労務単価」です。
この調査結果では、設計労務単価2.47万円に対し、
→当初見積が2.71万円(設計労務単価比+10%)
→最終見積が2.19万円( 〃 -11%)
となっています。
当初が基準より1割高くて最終が基準より1割安いってことですが、
この最終の1割安をどう判断するかでなんでしょうね。
「基準よりマイナス何%までならOK」などの記載は資料には一切ありません。
1割安は「著しく低い労務費」に該当するのかどうか。
まあ実際はここまで単純な確認方法ではないと思いますが。
法改正では、著しく低い労務費の基準を「標準労務費」という
新たな指標をつくって対応していく訳ですが、
いずれにしても「著しい」の基準がどの程度になるのかが最大のポイントです。
国土交通省が、この「著しく低い労務費の禁止」を行う最終的な目的は職人の待遇アップ、
要するに賃金アップなわけですが、
はてさて会社間の取引額を規制することで本当に職人の賃金はアップするのかどうか、
ちょっと回りくどいやり方に見えるのは私だけでしょうか。