#037 建設業の派遣が増える理由

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株式会社ライズ

B!
2023年12月22日(金)配信


11月12月と建設業の派遣に関するニュースがたて続けに出ました。


▶2024年問題迫る建設業、現場への技術者派遣が急増
 【日経コンストラクション2023.11.17】

▶施工管理の人材派遣が急拡大、外注増を商機と見て新会社設立も
 【日経コンストラクション2023.11.20】

▶建設系の派遣技術者7000人超の巨大グループが誕生、需要高に対応へ
 【日経コンストラクション2023.12.05】


いずれの記事も、
2024年残業規制スタートの影響で建設業の派遣需要が急激に増え、
大手建設派遣会社の人員が急拡大しているといったものです。


ただ、派遣会社の人員は急増しているのに
建設会社の人員が急増しているという話は殆ど聞きません。
なぜ派遣会社の人員ばかりが増えるのでしょうか。


派遣会社の人員が増えるということは、
その人員を派遣として受け入れる建設会社がある訳ですが、なぜその建設会社は
直接人を採用しないで、派遣として受け入れるのでしょう。


施工管理等の派遣を受け入れる建設会社は、一定規模以上の売上が
ある会社です。少なくとも10億単位の売上をあげる会社が多いでしょう。
(派遣会社の身で言うのも何ですが、派遣単価は安くはありませんから
 小規模な会社では派遣を使う予算が確保できません。)


ということは派遣を受け入れる主な会社は、地場でもそこそこの規模の会社か
名の通った大規模なゼネコンという事になります。


では、どうしてこれらの会社は自社で直接採用せず、派遣に頼るのでしょう。


まず大手ゼネコンは、工事規模からして物件の多くは数人から十数人の
施工管理要員が必要になりますが、そもそも大手は核になる監督数名と
それ以外を派遣社員で構成するというビジネスモデルとして出来上がっています。
工事の下請のような、人員の外注化と言ってもいいかも知れません。


また仮にすべて自前の社員で揃えようとしても、高学歴かつ有資格が採用基準に
なっている大手がそんなに多くの技術者を採用することは物理的に不可能です。
なので結果的に派遣を活用することになります。


地場ゼネコンはどうでしょう。
こちらは大手ゼネコンと違い、一つの現場で施工管理が10名とか必要に
なることはまず無いでしょう。1,2名から多くても3,4名とか。
5名10名を超えるような大規模な現場は滅多にないでしょう。


ということは、地場ゼネコンの人員採用は年に数名がいい所でしょうが、
経験者は今どき採用できませんから、必然的に未経験者採用になります。
ただこれが中小の建設会社には至難の業です。


未経験採用なので若年者が対象になりますが、どの業界も人手不足なので、
何十万をかけて求人サイトに掲載したところで施工管理なんて見向きもされません。
そもそも施工管理という仕事自体が世間にあまり認知されていませんから。
それにネットで施工管理と検索すれば3Kとか5Kとか出てきます。


仮に応募があったとしても、今どきの若者は複数社への応募が基本です。
会社に応募連絡が来たら、すぐに折り返しないと(2,3日も経ったらアウトです)
レスポンスのよい他社に持っていかれます。


更に会社のホームページが今風でなかったりSNSが皆無だとほとんど興味を
持ってもらえません。


また、今はどこの業界も若者の人手不足を認識して危機感を持っているので、
面接は「接客」するくらいのイメージを持って行わないと入社に至りません。
若年者の採用作業は本当に大変なんです。


とまあ、ここまで手間のかかる若年者採用を中小の建設会社ができる訳ありません。
中小も人手不足で全ての社員が忙しいですから。
で、結局派遣に頼むってことになるんです。


来年はいよいよ建設業の残業規制がスタートします。
弊社にも派遣依頼は多くなってますが2024年は更に派遣需要が増える年になると思います。


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