2023年12月8日(金)配信
来年2024年4月から始まる建設業の残業規制に向け
いま、朝の「通勤時間」が問題になる会社が多くなっています。
専門工事会社では、
早朝、職人が会社の事務所に集合し、ワンボックス車などに乗り合って
現場に向かう事がよくあると思いますが、最近それが問題となっています。
一度集合し、車に乗り合って現場まで向かう時間が「労働」じゃないのか?
という話です。
そもそも移動時間は、労働時間とみなさないのが一般的な理解ですが、
どういうことでしょうか。
労働基準法で労働時間とは、
「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを指します。
時間中の行為が移動だろうと何だろうと会社の指示でやっているのなら
それは労働時間に当たるという解釈です。
移動時間については、厚生労働省の資料でも解説されており
・移動手段の指示を受けない
・移動中に指示を受けない
・移動中に業務をしない
・移動中の自由な行動が保障される
といった条件が満たされれば、労働時間になりません。
ですが、逆をいえば
「車を指定される」➡移動手段の指示を受けている
「車中で作業の打合せをする」➡移動中に指示を受けている
「車中で図面確認する」➡移動中に業務をしている
「寝たり音楽を聴けない」➡移動中の自由な行動が保障されていない
ということになり、その移動時間=労働時間になります。
ご存知の通り来年の残業規制が始まれば、
すべての建設会社で「月45時間まで」が適用される月が発生します。
仮に往復の移動時間が2時間で、それが労働時間とみなされれば
勤務日数が月20日間としても、残業は「1日2時間×20日=40時間」と
なります。月45時間の残業枠は、移動時間で埋まってしまいます。
乗り合い移動時間の問題は下請会社に多いと思いますが、
移動時間が労働時間になれば、残業ができなくなり現場作業に影響します。
また今は「建設Gメン」の現場調査で残業を厳しくチェックされ、
結果次第では元請や発注者にも影響が及ぶ時代です。
「下請の残業時間は下請の話」で済まされなくなっています。
2024年、来年の残業規制はいろんな問題を浮き彫りにしています。
※参考:厚生労働省資料
「移動が労働時間に該当すると判断された事例」のイメージ図
(平成20年2月22日東京地裁)
https://www.rise-jms.jp/media/construction/a1096