2023年1月27日(金)配信
国土交通省が、
今年4月から原則適用を始めるというBIM/CIMですが、
工事現場では一体どの程度のことをするのでしょうか。
大手建設会社はともかく、
国交省工事の受注の大部分を占めるC・Dランクの地場工事会社で
BIM/CIMを駆使しながら工事施工できる会社というのは、
現状では圧倒的に少ないはずです。
この4月から本当に工事でBIM/CIMを使う事などできるのか、
実際にどこまでBIM/CIMを使わないといけないのか、
国交省が公表した資料から見てみたいと思います。
ちなみに
BIM/CIMの、これまでのスケジュールは以下の通りとなっています。
▶国土交通省/BIM/CIMの活用スケジュール
https://www.rise-jms.jp/media/construction/a8354月からのBIM/CIM原則適用については、
国交省が発注する調査や設計などの「業務」と、
国交省が発注する「工事」の双方でほぼ全案件が対象となります。
具体的な活用方法、要するにBIM/CIMで一体何をどこまでするのか
については先月以下の資料が公表されました。
※必ず実施しなけらばならない「義務項目」のみ抜粋
▶国土交通省/令和5年度(2023年度)BIM/CIM原則適用の実施方針
https://www.rise-jms.jp/media/working_constructionindustry/a989業務を除く工事施工に関する部分を見てみると、
まず目に留まるのが設計図書についてです。
「設計図書は2次元図面を使用し、
3次元モデルは参考資料として取り扱うものとする。」
とあります。
工事でBIM/CIMを適用すると言っても、
基本はこれまで通り2次元図面を使うのであって
3次元(BIM/CIM)については、あくまで参考だよ、という話です。
更には、
「設計段階で3次元モデルを作成している場合」に限るとありますから
施工する工事の発注図面などが、そもそも3次元になっていなければ、
何もすることは無いという事になります。(極端に言えばですが)
また、仮に設計段階で3次元になっていても、
(工事の設計図書が3次元になっていても)
「3次元モデルを閲覧することで対応」すればいいとしています。
要するに、その3次元モデル(BIM/CIM)に対する
「作成・加工は含まない」と記載してありますから、
BIM/CIMツールを操作して何か加工したり修正したりする事はない、
という事になります。
今年、令和5年度(2023年度)から全ての工事でBIM/CIMを適用する
といっていた話は、確かにその通りなのですが、
公表された通り、あくまで「原則適用」であり、
BIM/CIMの「本格適用」までは至ってないようです。
国交省は、
適用年度を前倒ししてまで3次元の導入を進めてきましたが、
工事を受注する側の地場工事会社のBIM/CIM体制の準備不足を考えれば、
全工事の適用初年度としては順当な活用方針だと思われます。