2022年11月11日(金)配信
前回に引き続き、
2024年4月からスタートする建設業の残業規制についてです。
大手ゼネコンの残業時間削減はどこまで進んでいるのでしょう。
「残業は年720時間、1ヶ月100時間」などの
最終的な規制に対して、現状は以下の通りとなっています。
大手ゼネコンの残業削減、いまどんな状況?(日建連2021年度調査)
https://www.rise-jms.jp/media/construction/a927残業規制の対象となるのは一般企業でいう課長より下の「非管理職」ですが、
「非管理職」と「管理職」を合わせた全体の人数 約10万人のうち、
「非管理職」はその6割、約6万人います。
その約6万人の28,6%、17,427人が、
年720時間(月換算60時間)の上限規制を超えています。
2024年4月の残業規制まで、あと1年半ほどですが、
この時点で対象者の3割弱が上限を超えている・・・。
これを順調に進んでいると見るのか遅行と見るべきなのか。
日建連の会長は「厳しい」と認識してるみたいですが、
建設現場の前線で働く者からすれば「めちゃくちゃ厳しい」が本音ではないでしょうか。
また上限を超えている17,427人のうちの3分の1(5,815人)が土木です。
(建築は約半分の8,614人)
役所が週休2日を進める公共工事中心の土木でさえ、
まだまだ先行きは厳しいと言わざるを得ない状況です。
さて、残業規制は「非管理職」が対象ですが、
対象にならない「管理職」の残業時間はどうなっているのでしょう。
管理職の残業時間は減っているのか!?
https://www.rise-jms.jp/media/construction/a926▶「管理職」年間の労働時間
2018年度2162時間
2019年度2159時間(前年-3時間)
2020年度2170時間(前年+11時間)
2021年度2183時間(前年+13時間)
▶「管理職」年間の残業時間
2018年度306時間
2019年度310時間(前年+4時間)
2020年度312時間(前年+2時間)
2021年度320時間(前年+8時間)
ここ数年、残業規制の対象となる「非管理職」は、
トータルでみれば年間の労働時間や残業時間は確実に減っていますが、
対象とならない「管理職」は少しずつではありますが増加しています。
「管理職」については、
どこの会社でもそうでしょうが、会社に実際の残業時間数を申請しているのか
疑問符が付くところでしょう。
そう考えると、この残業時間数は実際にはもっと多い気がします。
結局、残業規制の負担は「管理職」で。
そんな単純な図式にならないよう、2024年を迎えたいものです。