株式会社ライズ
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【発注者支援業務とは?】経験者が仕事内容や公共工事発注のプロセスを解説!
https://www.rise-jms.jp/media/aim_orderersupport/a714
目次
発注者支援業務とは、発注者(公共工事を発注する人)を支援する業務です。
また公共工事の発注には、次の8つのプロセスがあります。
しかし公共工事にかかわる8つのプロセスの中でも、発注者支援業務にあたる業務、あたらない業務があるのをご存じでしょうか?
また発注者支援業務とは、そもそもいつから、なぜ始まったのでしょうか。
そこで今回は、以下の点について解説します。
この記事を読んで、発注者支援業務の理解を深めましょう!
公共工事の発注には8段階のプロセスがあります。
発注者支援業務にあたるのは、このうち太字になっている5つです。
5つについてはこれから詳しく説明していきますが、まずは発注者支援業務にあたらない3つの仕事について見ていきましょう。
公共工事を行う際には、まず地質や地形の調査、測量が必要ですが、こちらは発注者支援業務にあたりません。
地質・地形の調査は、専門の地質調査会社が行い、測量は測量会社が担当します。
次に、設計を図面に起こしていく作業も発注者支援業務にはあたりません。
道路や橋、堤防などの公共事業にかかわる設計は”建設コンサルタント”と呼ばれる設計会社が担当します。
道路やダム、河川といった国が設立して整備・維持する施設を社会資本(インフラ)といいます。
建設コンサルタントは、社会資本にかかわる企画、調査、計画、設計など、実際に着工する前段階の業務を幅広く担う仕事です。
社会資本の整備は原則税金で賄われるため、公平性・透明性を担保するために設計者と施工者を別事業者が担うこととされています。
この原則にもとづき、社会資本整備は、①発注者である国や地方自治体、②設計を行う建設コンサルタント、③施工を行う建設会社(ゼネコン)の三者が中心となって進められます。
なお公共事業を担う建設コンサルタントは、国土交通省の建設コンサルタント登録規定に基づき、国土交通省への登録が必要とされています。
実際に工事を行う施工の段階も、発注者支援業務にはあたりません。
こちらは建設会社(ゼネコン)が行います。
結論から言うと、前述の3つの仕事が発注者支援業務にあたらないのは、手間がかかるからです。
たとえば地質調査では大規模なボーリング調査が行われます。
測量も広い敷地範囲で正確な測量を行い続ける必要があり、大変な労力がかかります。
設計は道路や橋、堤防などの分野は特に大掛かりで、構造的な問題を考慮しながら図面に起こすのは時間を要するものです。
施工となると、バックホウ、クレーンといった重機を準備する必要があります。
言うなればゼネコンの機能を全て賄う必要があるので、こちらも大変な仕事です。
こういった諸々の理由から、発注者支援業務といえど、高度な知識が求められることや、大変な手間がかかることは専門業者に任せようという流れができたのです。
ボーリング調査とは、地面に細い穴を掘り、地盤状況や馳走の深度などを調べる地盤調査方法です。
地中の土を採取したり、どのくらいの深度に地下水があるかを測定することで、地盤の強度や土質などを判断します。
敷地面積が広い場合でも、複数の地点から土を採取・解析することで現場全体の特徴が細かく分析できます。
このような正確性がメリットとされ、古くから採用されている地盤調査方法です。
"油圧ショベル"と総称される重機の1つで、back(後ろ側)+hoe(くわ)が語源となってます。
ショベルが運転者側の方向に取り付けられているのが特徴です。
内側(自分側)に引き寄せるように操作するので、地面より低い地点での掘削作業に最適です。
逆にショベルが進行方向側を向いている重機は、パワーショベルと呼ばれています。
測定業務とは、工事予定地の正確な位置(座標)・高さ・長さ・面積等をさまざまな専門器具を使って測定する仕事です。
測量業務は屋外で行う外業と、事務所内で行う内業の2つに分かれます。
①外業
外業とは屋外で行う測量作業のことです。
5人程度のチームを組み、GPSや関数電卓、セオドライト(角度を測る器械)、レベル(高低差を測る器械)、光波測距儀(光を使って距離を測る器械)などの専門機器を使って測量を実施し、そこで得た結果を保存します。
②内業
内業とは測量士が事務所で行う作業のことを指します。
まず行うのは作業計画・測量計画などの立案です。
それから測量後は観測したデータをもとにさまざまな計算を行い、測量ソフトを利用して図面作成を行います。
完成した図面は製図機器を使って描画し、必要な書類が揃ったら発注者に提出します。
測量業務は複雑な地形や厳しい環境下でも正確な作業が求められるため、忍耐力が必要とされます。
また測量結果は開発計画や建設条件などにも大きく関わる要素なので、非常に責任の大きな仕事と言えます。
これまで発注者支援業務についてお話してきましたが、そもそも発注者支援業務とは、いつ・どのようにして生まれたのでしょうか?
気になる方に向けて、こちらでは私が国土交通省(旧・建設省)の関係者から聞いた発注者支援業務の成り立ちについてお話します。
昭和57~58年、中曽根康弘氏が総理大臣を務めていた頃によく「小さな政府」という言葉が叫ばれていました。
小さな政府とは、要するに「行政機能はなるべく人数を少なくし、コンパクトにしましょう」ということです。
その上で民間にできることはできるだけ民間に移管し、自由競争を促して経済成長を図ろうという意図がありました。
そこで役所をなるべくコンパクトにするために、公務員の採用人数をどんどん減らしていったのです。
公務員はリストラがないので、人数を少なくするには入職を減らすしかないのですね。
しかし当時も、公共工事にかかわる業務は今と変わらず8段階ありました。
バブル前後の時代で、工事量の数はむしろ多いくらいでした。
つまり仕事量は多いのに、人が少ないという事態になってしまったわけです。
そこで前述した3つの業務(地質調査・測量、設計、施工)は専門業者に任せ、あとの業務は発注者でやろうということになりました。
しかし発注者の人達の数がそもそも足りていないので、結局は"発注者支援業務"という外部に、一部を業務委託しようという流れになったそうです。
これが発注者支援業務が生まれた成り立ちです。
工事発注のプロセス8段階のうち、発注者支援業務にあたるのは次の太字の5つとお伝えしました。
今回はこの中から、用地確保(用地補償総合技術業務)の業務についてご紹介します。
用地確保の業務には以下のようなものがあります。
具体的にどんな仕事をするのか、順に説明します。
用地確保の業務では、まず工事対象エリアの現地に行って視察を行います。
対象エリアが元から国の土地であれば問題ないのですが、民間の土地だったり建物があったりすることも当然あります。
よって、関係権利者の特定とは「対象エリアには〇〇さんの家と、△△さんの家がある」という風にチェックをする仕事です。
対象エリアに人がいる場合、立ち退きをお願いする必要があります。
そこで立ち退きに際する補償額が算定されてくるので、その確認をするのが"補償額算定書の照合"という仕事です。
補償金にはいくつかの項目があり、権利者によって項目ごとの金額は異なります。
その明細表を作る仕事です。
たとえば人家から立ち退いてもらう場合、補償する項目は大きく3種類あります。
①動産移転料
…屋内動産移転料
…一般動産移転料
住居や家財を移転させる際に必要な費用のことです。
引っ越し費用と捉えていいでしょう。
庭木の1本の移転費まで細かく算定します。
②借家人補償金
…賃貸借契約において借家人に返還されないことと約定されている一時金
…賃貸借契約において借家人に返還されることと約定されている一時金
これまでの家賃と転居先の家賃に差額が発生した場合に充当してもらうことを目的とした補償金です。
現在暮らしている住居と同レベルの建物に移転してもらえるよう考慮しています。
③移転雑費
…移転先又は代替地等の選定に要する費用
…法令上の手続に要する費用
…転居通知費、移転旅費その他の雑費
…就業できないことにより通常生ずる損失の補償
移転先の物件を探す際の諸経費や、契約にかかる費用、物権探し・契約のために休業しなくてはならない場合の補償金などが含まれます。
現場対象エリアに人が住んでいた場合、もちろん全員が「はい、どうぞ」と立ち退いてくれるわけはありません。
工事の目的や概要を説明し、交渉をする必要があります。
その際に使用する資料を作る仕事です。
それから発注者支援業務の"用地補償業務"には、次のような仕事もあります。
作成した資料をもとに補償額を提示し、交渉、契約を取りつけるということですね。
ここまでを見ると、映画などに出てくる"住民説明会"のようなイメージを持たれた方もいるのではないでしょうか?
発注者支援業務者がああいった場に登場することはほぼありませんが、仕事のおおまかなイメージとしては正解です。
発注者支援業務は公共工事の発注者の支援をする業務ということで、工事関係の仕事と思われがちです。
しかし実際は施工絡みの仕事ばかりではありません。
今回取り上げた"用地補償総合技術業務"は、発注者支援業務のなかでも毛色の異なる業務として、特に顕著な例でしょう。
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